だいあろぐ
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2003/03/19 (Wed) [長年日記]
§1 いよいよ始まる
ドルの強さを確固たるものにしようとするアメリカ。陸続きで手を携えてあらたな統一通貨の力をつけようとする欧州諸国。労働価格破壊の嵐を巻き起こしている中国。自国の防衛すらままらない日本。そもそも国として機能していない北朝鮮。たまたまアジアの蛇口であったがゆえに格好の餌食となったイラク。
国というものは、自国の利益を追求することが第一である。お互いに利益が追求できるときには、国家間で手をつなぐこともありえる。自国の利益につながらない策は、策とはいえず、いずれかの手段を用いても存続がままならない国は、国とはいえない。国家と国家は弱肉強食の関係にあり、力のない小国は、大国に生殺与奪の権利を握られているのだ。
アメリカは、自国の通貨であり現在の世界共通通貨であるドルを、今後も価値を暴落させないことは自国の利益につながる。ユーロ(と欧州圏)が力をつけてくるのは、得策ではない。
また、価格の安い中東産と、コストのかかっている国内産の原油価格を調整することは、自国の利益につながる。原油のほとんどを中東に依存しているアジアでは、ペルシャ湾封鎖はそのままアジアの経済危機につながる。労働力の価格破壊を招き、中央アジアで力を伸ばしつつある中国だが、高い原油の調達を強制することで歯止めがかかる。そもそも貧乏で資源もないテロ国家の場合は、詐欺同然の方法で集めたなけなしの外貨を使って、高い原油を買わざるをえない。放っておくことこそ最善手。(現在の独裁という形での)国家の滅亡は秒読みともいえる。70年代の石油危機で貯蓄システムが完備された日本は、アジアで壊滅的打撃を受けない唯一の例外国である。
戦後のイラクに軍政を敷くことで、原油価格の統制、対中国包囲網、対欧州圏の拠点確保という利益が待っているアメリカにとって、この戦争はやらなければならない国策である。国家の利益追求という大原則が、その根底にある。「悪の枢軸」呼ばわりして「将来の危険を取り除く」というのは、大義名分に過ぎない。弱肉強食の原則にのっとり、力のないイラクはなすがまま、だ。
現在の日本は、アメリカの同盟国という立場においてのみ自国の存続が可能であり、ゆえにいかなる経過をたどるにせよ、最終的にはアメリカに反対する立場を取ることはできない。これは日本が日本として存続するための最低条件である。アメリカに反対する立場を取るためには、自身の防衛手段を自国で持つことが必要条件であり、そのためには憲法第九条は変更する必要がある。憲法が現時点で有効である以上は、日本を代表する総理大臣としては「アメリカを支持する」以外の発言をすることはできない。
各国の立場だが、自国の立地条件や対外的立場としての必要な発言はあるにせよ、結果としては戦後戦勝国となるアメリカとの関係を考えなければならない。同盟国ならば「積極的賛成」「条件付賛成」する必要があり、それ以外の国においては「遺憾の意」を表明したり、外相が辞任する程度にとどめなければならない。
地球上に存在する複数の国家が国益を追求した結果、解決手段として選択されたのが今回の戦争である。お互いの軍事バランスが一定で保たれている間は、戦争を起こすことが利益を上回らないから、戦争以外の解決手段が選択される。しかし、軍事バランスが一方に傾いた場合には、戦争という解決手段が選択されることもある。一個人としては戦争に反対であり、起きて欲しくないとも思っているが、国家が国家として成立するために戦争が必要であるということも理解できる。必要悪とでもいうのだろうか。
戦争が避けられないのであれば、一日も早い戦後が訪れることを、自分と、自分の周囲の人たちが平穏無事に過ごせることを、願うばかりである。
